今回はチームの掲げる「Vision(目標と目的)」をどのように組織内に浸透させていくかについてお話ししたいと思います。リーダーはともすれば、自分の掲げたビジョンに関して、それを作るまでに多大なエネルギーを注ぎこみますが、そこで力尽きてしまって、それを大切に自分の金庫に閉まってしまう傾向にあります。これではまさに「仏つくって魂入らず」というべく残念なことだと思います。
一般的に、企業や組織がそのビジョンを掲げることは簡単なことですが、一番大切なことはそれをどうメンバーに浸透させるかだと考えます。なぜなら掲げたビジョンは一般的にはそう簡単にチーム内には浸透しないからです。試しにあなたが率いる組織のメンバーにその組織のビジョンを聞いてみてください。全員が揃ってそのビジョンを語れることができる組織はそう多くはないと考えます。リーダーがいくら熱くそのビジョンを語ったとしても、それを浸透させることは並大抵のことではありません。残念ながらリーダーの熱い思いとメンバーの意識の間には想像以上にかなりの隔たりがあることを認識する必要があります。
私がかつてサントリーの酒類組織の長として、どのようにビジョンをメンバーに落とし込んでいったかについて少しお話しをさせて頂きます。私が自分の営業チームを率いて1年近く経ったある秋に、ビジョンをメンバーに浸透させることを目的として、サントリー白州蒸留所の近くの山梨県甲府市の温泉宿においてメンバー全員で一泊二日の合宿を行ったことがあります。
一旦、日々の業務から離れ、リラックスした気分で「ビジョン共有の時間」を持つことが重要だと考えていました。。この合宿の目的は、掲げたビジョンをリーダーである私からの一方的な掛け声に終わらせることなく、メンバー全員に「実現可能で現実的なもの」として共有化し、その達成に向けてメンバーそれぞれの意識のベクトルを合わせることをこの全体合宿のメインテーマとしていました。
この合宿での午前中は、まず簡単に通常の実務の確認を行い、午後をビジョン共有のためのディスカッションに費やした。あくまでも合宿のメインテーマは「ビジョンの共有化」だからです。ビジョン共有化のディスカッションでは、まず私からこの中長期ビジョンの持つ「意味合い」や「実現可能性」について説明したあと、あらかじめ決めておいたディスカッションテーマを提示し、16名のメンバーを4つのチームに分けて、同じテーマで話し合ってもらった。そのテーマの内容は以下の通りです
目次
【Q1】我々はなぜこの「ビジョン」にチャレンジしなければならないのか?
【Q2】その「ビジョン」を達成した瞬間のイメージ、気持ちを想像するとどんな感じか?
【Q3】どんなことをすればその「ビジョン」を達成できるのだろうか?
このディスカッションの「ねらい」は、まず私が掲げたビジョンに対する理解を深めてもらうこと、そしてそれを達成したときに得られる「喜び」を実際にイメージしてもらうことで、ビジョンをメンバーの心に深く刻みつけることで目標達成に対するモチベーションを高めることににりました。このディスカッションの中で出てきた生の意見を紹介すると、「ビジョンを達成した時、全社の業績に大きく貢献でき、大いなる達成感を味わえる」、「この部署が全社的に脚光を浴び、誇らしく嬉しくまた楽しい気分になれる」、あるいは「メンバーの仕事のスキルが今では考えられないほど飛躍的にアップし、確実に目標を達成できるスキルを身に付け、サントリーの中でチームとして最高のレベルに達している」「全社の中での自分のチームの位置づけが゜高まることで、今後のサントリーのマーチャンタイジング戦略へ我々の考えを反映できる」等の前向きな意見がどんどん飛び出してきました。
このようなディスカッションを終え、私が「いまどんな気持ちか?」と尋ねたところ、「目標を達成した時のことを真剣にイメージしているうちに、なぜだか自分も楽しい気分になり、ワクワク・ドキドキして実際にこの目標に向け真剣にチャレンジしてみようという積極的な気持ちになった」と、メンバーの意識に明らかな変化が見られました。
ミッションやビジョンをチーム内で共有化する場合、上からの一方的な押し付けではなく、まず組織内のメンバー全員で、通常の業務から一旦離れて、その意味合いや達成した時のイメージをリラックスしてワイガヤで話し合う時間を作ることで、チーム全体に大きな効果がもたらされます。
リーダーはまず大きな観点から「ビジョンの真の意味合いとは何か」「なせ自分たちはビジョンを目指すのか」そして「それが実現したときにどんな気分になるのか」という3つの質問をメンバー全員に問いかけることでメンバー自らがその真の意味合いに気づきを与えることで、リーダーの掲げる「ビジョン」を心に深く刻み込まなければならないと考えています。
リーダーであるあなたも、一度私に騙されたと思って、ぜひこのことを思い切って実践して欲しいと思っています。そうすることで、チームメンバーの目標に対する意識が大きく変わり、きっと信じられない成果があなたのチームにもたらされることを私は信じて疑わいません。

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