「やってみなはれの極意【その⑫】」~伝説の健康酒「マカディア」誕生秘話~  

*このメールマガジンは、私・神田と直接名刺交換させて頂いた方々に送信させて頂いております。(今後、送信不要の方につきましては、最後にある送信停止の手続きを行って頂くよう、宜しくお願いいたします。)

「やってみなはれの極意【その⑫】」~伝説の健康酒「マカディア」誕生秘話~ 

「神田、おめでとう。10.1付の人事異動で洋酒事業部・リキュール部長に栄転だ」。当時の上司であった北海道支社長から内示を受けたのは、私が43歳の誕生日を一ヶ月後に控えた金曜日の午前中だった。札幌のススキノ業務用担当課長として全国でトップクラスの実績を出し続けていた私は、その実力が認められ、幸運なことに課長職を1部署(5年)経験しただけで、すんなりと部長職に昇進した。

私が内示を受けた「リキュール部長」のミッションは、当時サントリーが取り扱っていた数百種類の国産及び輸入リキュールのマーケティング・営業・販促活動を通じて担当製品のブランド力の向上を図り、それらの売上・利益予算の責任を持つことだった。当時の洋酒事業部は、輸入洋酒と国産洋酒という形で担当体制が分かれていたが、私が異動するタイミングで組織変更が行われ、リキュールカテゴリーについては、国内産と輸入品とが一緒の担当体制となり、リキュールトータルの新しい部署の部長として私に白羽の矢が立ったのだった。新リキュール部の売上は数百億に上り、部下には語学に堪能なメンバーを中心に10名ほどの精鋭が揃っていた。私は、そのような全社にとって重要なマーケティング部署の部長に抜擢されるとは私は夢にも思ってはいなかった。

辞令を受けてから1ヶ月程度で課長としての引継ぎを終えた私は、辞令発令日である10.1に意気揚々と期待に胸を弾ませ、当時赤坂見附にあったサントリービルの6階の洋酒事業部に乗り込んだ。そして当時立ち上げたばかりの新組織のトップである、スピリッツカンバニー社長に簡単な挨拶をし、その後、かねてから周知の仲だった直属の上司にあたる洋酒事業部長と簡単な打合せに入った。その打ち合わせの後、新任部長として、語学とマーケティングに熟達した部下たちが並ぶ席の先頭に陣取って、「さあ、サントリーが取り扱う日本をはじめとする世界のリキュールの売上を、自分の力で大きく伸ばしてやろうじゃないか」と、はやる気持ちを抑えられずにいた。私は赴任早々、いち早くこの部署になじむべく、メンバー全員と個別面談をスタートさせた。そしてそれから一週間ほど経った頃だったろうか、お昼にビル内の食堂に向かおうとしていた矢先、「神ちゃん、ちよっと話があるんだけど、いいかな?」と私の上司である事業部長にふと呼び止められた。「はい。」と答えて、私は近くにあった事業部長室に向かった。中に入るとその事業部長が大変申し訳なさそうな表情で「実は今回の洋酒事業部の新体制に関して私の思うところがあって、リキュールの担当体制を見直すことにした。それは、リキュールというお酒のカテゴリーの性質上、国産製品と輸入製品はビジネスモデルが全く違うので、やはり今までのように元の体制に戻し、国産リキュールと輸入リキュールを2つの組織を分け、国産リキュール担当部長を神ちゃん、輸入リキュール部長をH部長に担当してもらうことにする。」と私に告げた。

私はこの組織体制の話の意味合いを理解することができなかったので、すぐさま事業部長にこう尋ねた。「了解しました。では私が担当する国産リキュール部長とはどんな仕事をすることになるのでしょうか?」と。私の知る限りでは、サントリーの取扱う国産・輸入を合わせたリキュールトータル売上のうち、国産リキュールが占める割合は1割あるかないかという僅かなものだったからだ。そう言うと、事業部長は「神ちゃんには、別の特別なミッションを用意してあるので、申し訳ないが当面は部下なしで頑張って欲しい」と。

「えっ、部下なし?」どんな課長でも数人の部下はいるものなのに、部長にせっかく昇進したというのに、数名部下のいた以前の課長職よりも格下的な部下なし部長とは?「それはないんじゃなの?」という表情を隠しきれないでいた私に、なだめすかすように事業部長が、「徐々にメンバーは増やしていくので、しばらくの間は部下なしで我慢してくれ。もちろん処遇は部長職に変わりはなく、報酬についても課長の時と比べて上がるので全く心配することはない」と。突然の組織内異動、しかも1週間程度しかたっていない段階で、いきなり部下なし部長となることを告げられた私は相当のシヨックを受けた。「なんでこんなことになってしまったんだろうか?」と、しばらくは悔しくてどうしようもなかったが、悩んでみても状況は変わるはずもないので、なんとか気を取り直して、まずは自分に与えられた仕事をきっちりこなすことが大切であるという気持ちに切り替えることも私は忘れなかった。

この組織内異動については私自身、今になって振り返ってみると納得できる点が多いと感じている。当時のサントリーが扱っていた輸入リキュールのブランド数は数十種類あり、売り上げも数百億にも及んでいた。そして輸入リキュールを担当する部長の仕事は、海外提携先ブランドに関する「販売・仕切り価格交渉」,「ブランド戦略の共有化」,「利益配分の明確化」,「販促方針・コストの決定」など多岐にわたっていた。しかも全て海外提携メーカーの代表者と英語で交渉しなければならなかった。残念ながらTOEICで400点前後をうろうろしている私の業務経験と語学力では、到底太刀打ちできるものではなかった。国産リキュールだけの担当であれば、かつてウイスキーのブランディング、商品開発に携わってい経験を活かし、語学に苦しむこともなく存分に能力を発揮できるのも事実だった。しばらくの間はさしてすることもなく、サントリーの国産リキュールの製品に関する知識を学びつつも、暇を持て余していた私に、新たなミッションが告げられたのはそれから1ヶ月程してからのことだった。ある朝に、事業部長と共に、研究開発担当のM常務に呼ばれ、「これは極秘の話だか、サントリーでは新たに”健康酒のカテゴリー”に参入することになった。それを洋酒事業部・国産リキュール部として担当して欲しい」。そしてこう続けた「実はコンセプトはこちらの方で既に固めていて、既に中味開発は進めている。それを一言で言い表すならば『シニアの応援酒』になる」と。当時のサントリーの健康食品事業は、ごまのエキスを使った「セサミン」が大ヒットし、飛ぶ鳥を落とす勢いだったのに対し、酒類事業に関しては、屋台骨であるウイスキーの長期低落傾向とビール事業も競合3社との消耗戦によって踊り場に立たされ、経営的にも非常に苦しい状況だった。そこで起死回生の一手として、好調な健康食品の素材を活用した新しいジャンルのお酒の開発を進めることは、当時の酒類事業の打ち手としては妥当なものだった。

さらにその『シニアの応援酒』の具体的な内容を詳しく聞くと、それはアンデスの健康素材「マカ」をベースとしたお酒を、中年男性をターゲットとして、元気と活力を提供する商品だった。その健康素材「マカ」とは、ペルーのアンデス地域原産の植物で、エネルギー増強、スタミナ向上、ホルモンバランスの調整、性機能の改善などの効果が期待されていた。サントリーはいち早くその効能に目をつけ、その当時「サントリーマカ」としてタブレットで販売を開始し、それなりの手ごたえを掴んでいた。私に与えられたミッションは、働き盛りの中年男性に、アンデスの健康素材である「マカ」をベースとしたお酒(酒税法上はリキュールとなる)の商品を開発し、その市場を拡大することだった。コンセプは既に固まってはいるものの、かつてない新しいカテゴリーの商品へのチャレンジは、私にとっては「渡りに船」の絶好のチャンスであったことは間違いなかった。

この商品の開発にあたって、取り急ぎ商品開発のプロである女性のSという部下をつけてもらい、二人でその製品のミッションである『シニアの応援酒』の開発がスタートした。ところが、彼女と二人で、今回のコンセプトについて、日夜喧々諤々の議論を重ねていた際、部下Sがぽつりと私にこうつぶやいた。「どう考えても、マカを使ったシニアの応援酒というコンセプトには無理があります」と。「なぜだ」と私が詰め寄ると、部下Sはこう答えた。まず①「マカ」の効能が科学的・医学的に立証されていないこと、②ターゲットである中年男性は、この効能を求めつつも、それを求めているということは他には知られたくないはず、③シニアは嗜好品としてのお酒の価値に、このような効能を求めていないこと、の3つを挙げたのだ。結論としては、M常務の考えたコンセプトでの商品開発は、大きなマーケットを獲得するのは困難で、結果的にはサントリーのためにはならないということだった。部下Sの考え方は、「マカ」の効能には、男性の精力増進ということ以外に、ホルモンバランスの改善(特に更年期障害の症状軽減や月経前症候群の緩和)という効能があるので、そこに焦点を絞り、『働く30~40代の主婦の元気とキレイのお酒』というコンセプトに変更するという案だった。まさに女性目線ならではの素晴らしい視点だった。ギラギラした中年男性に、押しつけがましく「これを飲めば勢力絶倫になりますよ」といって、効果効能のはっきりしない怪しげなお酒を勧めても、すんなり受け入れられるのは難しい。であれば、ホルモンバランスのコントロールに悩める女性に、「元気とキレイを実現できるオシャレなお酒」という形で商品化する方が、説得性がある。私は彼女の考えに全く異論がなかった。二人の考えは一致し、すぐさまこのコンセプトに従って商品化を進めることにした。このコンセプトを大きく変えることは、M常務の意向に大きく反することにはなったが、時間をかけた粘り強い説得によって、我々のコンセプはようやく認められた。

私はこの商品化を進めるにあたって、以下の譲れない「3つの方針」を決めていた。1.結果として必ず売れる商品に育てること、2.そのために考えた仮説を徹底検証すること、3.正しいと決めたことは誰に対しても絶対に妥協はしないこと。しかし、この3つを貫き通すのはそんなに簡単なことではなかった。当初M常務から与えられた『シニアの応援酒』というコンセブトを否定したことによって、すべては0からのリ・スタートとなっていた。国産リキュール市場においては、なんといっても「梅酒」がその大半を占めており、トップのチョーヤをはじめとする、酒類メーカーがこぞってそれぞれの個性を生かした梅酒製品を投入していた。この梅酒にサントリーの健康素材を使った新しいタイプの商品で勝負することで、膨大な梅酒のマーケットを奪取するのが我々の戦略だった。

まずはターゲット。これは、日々忙しい30~40代の働く女性に決まった。彼女たちが日常的に使っている売場(主にスーパー)で気軽に手に取ってもらえるような商品にする必要があった。「マカ」というと、どうしても男性の強壮剤的なイメージが強すぎるため、部下Sの発案でこれを和らげるべく、もう一つの素材(価値)を加えることにした。それは「ローズヒップ」だった。この「ローズヒップ」の持つ美肌効果とダイエット効果を活かし、イメージコンセプトとして「働く女性をサポートする、元気(=マカ)とキレイ(=ローズヒップ)のお酒」というコンセブトに決めた。よく調べてみると偶然にも、ローズヒップはアンデス(チリ)でよく生産されていることもあり、このローズヒップもマカと同様にアンデス産のものを使用することにした。

せっかくであれば、お酒のベースとなるスピリッツ(蒸留酒)もアンデスの地酒にしようということで、アンデスの地酒・「ピスコ」というお酒(ぶとう蒸留酒)を使って中味の開発を研究所に依頼することにした。これで中味は全てアンデス産の素材を使うということになった。ネーミングについては、製品コンセプトである「マカ」というワードを中心に、広告会社に候補を出してもらった。そして、元気とキレイになる健康酒として、マカを毎日少しずつ飲んで欲しいという思いを込め、名前を「Maca(マカ)」+「Dia(ディア)」=「マカディア(Macadia)」に決まった。Ðiaはスペイン語で「日、毎日」を意味する言葉で、「マカを毎日たしなむ」という意味合いが込められていた。マカディア(Macaⅾia)はまさに、アンデスの大地が生んだ「元気とキレイ」のお酒としてこの世に生まれようとしていた。次はボトルデザイン。瓶型は500mlのスリムでオシャレな瓶とし、ベースに赤の半透明な色合いの瓶を用い、そこに透明のヒートシールデザインを施す形に決め、社内のデザイン部と広告代理店とのコンペ形式によって、最終的なデザインを決定した。これで、商品化に必要な、コンセプト・ネーミング・パッケージの3つが決まり、出されたダミー瓶がようやく仕上がったが、それは我々にとって最高に満足のいく出来栄えのものだった。最も重要な製品の中味についてのオーダーは、開発当初から並行して大阪の山崎にある研究所にお願いしていたのだか、研究所ではそう簡単に事は進まず、悪戦苦闘の連続だった。それは、マカの素材が根菜類のため、スピリッツ(蒸留酒)に溶かしてもなかなかうまく溶け込まなかったことによるものだった。中味の担当だった研究者Mは連日徹夜で試行錯誤を繰り返し、過労で倒れて救急車に運ばれながらも、遂にサワーマッシュ法という粉を遠心分離機で分解することによって、スピリッツにうまく溶け込ませることに成功したのだった。

そして、最後の仕上げはテイスト(味わい)だ。マカをスピリッツに溶け込ませることに成功したものの、その試作品を飲んでみると妙に粉っぽ過ぎて、全くおいしくない。これでは一度この製品を手に取ってもらったとしても、二度とリピート購入はなされないと感じるほどの低いレベルだった。この粉っぽさをマスキングするためには、研究者のハイレベルの技術が不可欠になる。結局、数々のリキュールの商品開発を手掛けた研究者Dさんに頼みこんで、レモンの酸味とライムの甘みを加えることで、甘酸っぱい女性がこの見そうなフレーバーのティストを実現することができた。やはりサントリーのお酒の商品開発の強みは、商品開発担当者が描いた理想とする中味品質をそのままに実現する技術力だと実感した。いま、圧倒的にチューハイをはじめとするリキュール・スビリッツが圧倒的な売れ行きを見せているのは、この卓越した能力を持つ研究スタッフの力によるところが大きい。この時に協力戴いた研究者のスタッフの方々には、今でも感謝しても感謝しすぎるということはないと強く思っている。

コンセブト・ネーミング・パッケージ・中味が全て決まったが、これで製品の開発は終わりではなく、むしろここからが商品開発の腕の見せ所になる。これまでのプロセスは全て、顧客側の立場を強くイメージしつつも、作り手の立場に立って考えられたものに過ぎない。我々からの目線と、ターゲット顧客側からの目線をすり合わせるための、マーケティング調査が一番の勝負所になる。調査の実施にあたっては、新宿、渋谷、吉祥寺という3つの日中の街頭で、30~40代の女性をターゲットに声がけを行い、約300名の聞き取り調査を行った。そして更にその中から、感性の鋭い方々をピックアップし、商品の中味について試飲してもらいその感想について尋ねるという、デイプスインタビューを合わせて行った。そしてその調査に基づき、入念に修正に修正を加えた半完成品を、広告会社の密室でターゲット顧客とおぼしき数人を集めてのグループインタビューを何度か重ね、満足度が10(10満点)に近づくまで、さらに最終修正を加え続けながら、ようやく発売に向けての完成品が出来上がったのだった。この商品の調査に関しては私の強い思いから、結果的には数百万をかけてしまったが、過去からの洋酒事業部の慣行としては、これだけ市場調査にお金をかけることは異例のことだった。どちらかというと、商品は発売してみなければわからないため、実際に発売することで、顧客の反応を仰ぐという考え方が強く、ある先輩曰く、「新たな商品の市場導入は偉大なるテストマーケティングだ」と豪語していたことが思い出される。私はこの考えには真っ向から反対だった。それまで営業の経験が長かった私としては、「そんなテストマーケティングに付き合わされるのは、たまったもんじゃない !」という強い思いがあったからだ。

普通であれば、このような前例のない調査へのお金のかけ方に関しては、過去の例と照らし合わせて、反対されるものだが、あとで聞いたが、素人である私の商品開発のプロセスや手法がどのようなものであるかを参考にするため、好きなようにやらせたのことだった。やはり、ここにも前例踏襲を良しとせず、過去のやり方に拘ることなく新しいやり方を認め、どんどん好きなように挑戦させるというこの精神は、サントリーのものづくりや商品開発に携わる部署にもしっかりと根付いていた。このように、私の思うように自由に製品の開発に挑戦させてくれたサントリーには今でも深く感謝している。

いよいよ発売に向けてのカウントダウンが始まり、マカディアの宣伝広告・販促に関する詰めのディスカッションが山場を迎えたその最中、スピリッツカンバニー長から洋酒事業部長に突如連絡が入った。それは当時社長だった佐治(現会長)からのクレームについてだった。この商品化については、新たなカテゴリーを創出する商品ということで全社的に注目度が高く、その情報を聞きつけた佐治社長が「この商品はあまりにも安すぎる、もっと高くせ ! 」とスピリッツカンバニー長にクレームをつけてきたのだ。このマカディアは、ターゲットが30~40代の主婦層が、月に数回購入できるギリギリの価格である1,000円ちよっとに設定していたのだが、あまりに商品の出来栄えが良かったため、佐治社長が直感的に、このレベルの商品にしてはあまりにも価格が安すぎるという考えを持ったのだと思われる。カンパニー長は私と事業部長に「社長に説明しに行かなければないが、どう対応するんだ。」と相談をしてきた。それを受けて私は、カンパニー長と事業部長の二人を同時に見つめながら、「ここで価格を変えてしまうと、今までの苦労が全て水の泡になります。ここはひとつ私に対応の全権を与えてください。カンパニー長が話をするとかえってややこしいことになります」と言い放ち、すぐさま私は事業部長と社長室に向かった。社長室に入ると、いつも通り威厳のある堂々とした姿の社長が机の上にドンと構えていた。社長は我々が部屋に入るなり開口一番、「今回の新しいカテゴリーのマカディアを見たが、かなりいい出来しとる。これは必ず売れる!」。私は一瞬嬉しく思って深く頭を下げた瞬間、「だが、あまりにも値段が安すぎる、これからのビジネスは高付加価値・高価格しか生き残る道はない !最低でも、5,000円にすべし! 」と相変わらず威圧感のある通る太い声が部屋中に響いた。私は一瞬ひるんだが先ほど述べたように、ここで妥協して価格を上げてしまっては、今までの努力が全くの無駄になってしまう。

しばらく考え込んだ私は社長にこう切り返した「社長、この商品のターゲットである30~40代の主婦が1ヵ月に自分のお酒に使える金額はいくらか知っていますか?」。社長は、突然の難問に相当戸惑いながらも、「そんなもん、わからん。1万円ぐらいか?」と私に向かって言った。「訳のわからない質問をしてしまい、たいへん失礼いたしました。私の調査によると、彼女たちが1ヶ月にお酒に仕える金額は1,500円(当時の金額)前後です。従って、このマカディアは、2カ月に3本ほど購入いただける可能性の高い1,000円ちよっとに設定してあります。単価は低くても、広くこのターゲット層の支持さえ得られれば、リキュールとして10万ケースをこえるヒット製品になると確信していますし、必ず実現させてみせます!」その自信ありげな私の言葉を聞いた社長は、一瞬ニヤリと笑って「10万ケース?そんなちっぽけな数字は許さん、いいか100万ケース。100万ケースだ!それ以外は認めん!」と言って、その場はなんとか収まったのだった。(その後、マカディアはリキュールとしては10万ケースを超える久々のヒット商品となる)

いま振り返ってみると、この商品開発で学んだことは数限りない。トップダウンで降りてきたコンセプトを大幅に転換し、自分たちで決定したコンセブト・ネーミング・パッケージ・中味など、その商品開発に関わるあらゆる部署のメンバーが協力し合いながら、一つの商品の成功に向け一丸となって全身全霊を込めて与えられた役割に専心する。そこには、一切の妥協はなく、組織上の立場とか、忖度とか、利害関係とか、私利私欲は全く優先されてはいない。よりよい製品をつくり、それを提供することを通じて世の中に貢献するというサントリー共通のものづくりの精神が今のサントリーを支えている。このような自由闊達で、言いたいことも気兼ねなく言えるより良き組織風土が続く限り、サントリーの製品は世の中の顧客の関心を強く引き付けて離さないはずだ。

神田 和明

神田 和明

結果の出る強い組織づくりコンサルタント

株式会社チームフォース代表
中小企業の経営者に、コンサルティングとコーチングのハイブリッド型ソリューションで「結果の出る強い組織づくり」のサポートを行い、「活力」と「成果」をお届けしています
中小企業診断士/【BCS認定】プロフエッショナルビジネスコーチ/宅地建物取引士

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