「やってみなはれの極意【その⑨】                           ~「リーターシップとマネジメントについて考える」~

*このメールマガジンは、私・神田と直接名刺交換させて頂いた方々に送信させて頂いております。(今後、送信不要の方につきましては、最後にある送信停止の手続きを行って頂くよう、宜しくお願いいたします。)
「やってみなはれの極意【その⑨】」~リーターシップとマネジメントについて考える~
みなさん、こんにちは。(株)チームフォース代表の神田和明です。私は現在、JR田町駅に直結するステーションタワー内にあるサントリー株式会社・人事部に勤務し、組織開発、カルチャー醸成、シニア活躍、およびリーダーシップ及びフォロワーシップ研修等の仕事に携わっています。そしてその傍ら、2年前に副業として「株式会社チームフォース」を立ち上げ、「人に活力、組織にビジネスの成果を」を理念とし、「チームパフォーマンスコンサルタント」として「結果の出る強い組織づくり」のサポートをさせて頂いています。
具体的には、自分がこれまでに学んだ経営やマネジメントの知識と、サントリーでの営業・マーケティングの経験を活かし、コンサルティング・コーチング・トレーニングといった独自の三刀流メソッドを駆使し、クライアントの抱える経営課題の解決のお手伝いをしています。今回は、私の専門分野である「結果の出せる最強のリーダー」に不可欠な「リーダーシップ」と「マネジメント」について皆さんと一緒に理解を深めたいと考えていますので、最後までおつき合いを宜しくお願い致します。
「リーダーシップ」と「マネジメント」について論ずるにあたり、それぞれの意味合いや相違・共通点などについてシンプルかつ分かりやすく語れる人は少ないのではないかと思っています。その理由の一つは「リーダーシップ」という概念が比較的わかりやすく理解しやすいのに対し、「マネジメント」の定義を語る際には「広義」で捉えるか、「狭義」として捉えるのかでその内容が大きく異なるからです。
「広義のマネジメント」とは、組織全体の効果的な運営・管理を目的として、戦略的計画、組織のビジョンやミッション設定、全体のリーダーシップ、外部環境との関係管理などの幅広い活動の全てを意味しています。一方、「狭義のマネジメント」は 特定の業務やチーム単位での管理を対象とし、日常的な業務の進行管理、具体的なタスクの設定と達成など、より限定された範囲内での相対的な管理活動を意味しています。
ここでは「マネジメント」を狭義のマネジメントと捉えて、話を進めていくことにしたいと思います。リーダーシップとマネジメント(以下「狭義のマネジメント」を指す)の違いを簡潔に述べると、リーダーシップは人間性から発せられる気持ちや感情によってその機能が発揮されるのに対し、マネジメントは地位や権限に基づいたスキルや能力を遂行することによって、その効力の発揮が可能となるという違いがあリます。以下、下記の比較図を参考として確認下さい。私は「マネジメント」という概念をサントリーでの営業経験を通じて学びました。それは新宿歌舞伎町の大手S酒店を担当し、その取引先である飲食店への営業活動をしていた時です。私の最大のミッションは、S商店と取引している飲食店に対して、当時の主力商品であった「サントリーウイスキーローヤル(以下ローヤル)」の取扱店の拡大と、1店当たりの販売数量を増やすことてした。その手段として、私は年2回の拡売キャンペーンを仕掛け、年間の販売数量を達成することを計画していました。いま思えば、その時に頭をひねって考え、実行したそのキャンペーンの販売活動が私のマネジメントの原点になっているような気がしています。私は目指すキャンペーン計画の達成に向けたマネジメントを遂行するために、以下のPDCAを組み立てました。

【Plan】:S酒店全体のキャンペーンに対する販売計画を、課別・セールス別に振り分け、効果的な販売方法を共有化することで、それぞれが果たすべき責任を明確化すること

【Do】:重要ターゲットなる飲食店については、S酒販店のセールスと必ず同行訪問し受注ロットの最大化を図り、リピートオーダーに向けての活動を強化すること。

【Chek】:S酒店から毎日キヤンペーンの販売実績データーをもらい、その進捗状況について、課別・セールス別の進捗を共有し、計画残数の早期完了を促す。

【Action】:週次販売会議に出席し、全体の販売実績を全員で共有化すると共に、進捗の遅れているセールスに対しては営業の責任者である常務に発破をかけてもらう

このキャンペーンに関するマネジメントの基本設計をベースに、私は毎日毎日S酒店へ訪問し、日々の販売進捗確認を行いました。そして夜になると酒販店セールスと飲食店へ同行訪問に繰り出し、それが終わった後は情報交換を含めて夜遅くまで、「どうしたら販売計画を達成できるか」ということについて語り合いました。あるの時、先輩からこの活動マネジメントに関する以下の2つのアドバイスを受けました。一つは、S酒店の営業部隊の責任者である常務との信頼関係を築き、その常務から常にセールスに対してキャンペーンの目標数字の達成に関して、プレッシャーをかけてもらうこと、そしてもう一つは必ず毎日訪問して、しつこくしつこくセールスの数字を追い続けることでした。私は言われた通り、それを頑ななまでに実行に移し継続することによって、ローヤルの年間販売計画を達成することができたのでした。このように当時私にとってのマネジメントとは、目標を達成するためのPDCAの「型」をつくり、その「型」に従って愚直にPDCAをしつこく回し続けることと理解していました。

しかし、その後すすきの業務用担当マネージャーに昇進し、実際に課の部下のマネジメントに携わることになったタイミングで、私の今までのマネジメントの考え方・やり方では通用しなこいとに気づいたのです。私は自分が率いる課のメンバーのマネジメントを遂行するにあたり、月次のマネジメントサイクルを入念に作り上げ、売上とそのために活動すべき内容を一元管理する仕組みを作り上げました。そのようにマネジメントの「型」をうまく構築した私は、「これで大丈夫、なんとかなるだろう。あとは実行のみ。」とタカをくくっていました。そして過去の成功体験に基づいて自信満々に、厳しく愚直にそのマネジメントサイクルを回し続けましたが、その後、いまいち思うような成果がなかなか出ませんでした。「なぜこんなにキッチリとマネジメントサイクルをしっかりと継続して回しているのに、成果が出ないんだろうか?」と悩んでいた私に、あるとき当時の上司であった支店長が私に向かってこう言いました。「神田のやり方は魂がこもっていないんだよ・・・・まさに”仏作って魂いれず”だ」と。そして「確かにマネジメントの型は理想的で理にかなったもので一見、うまく機能する感じがするが、それだけでは人や組織というものは簡単に動くものではない」。「それはマネジメントの対象が人間だからだ。人間は感情の動物であり、地位や権限で動くのではなく、人の心でしか本人の自発的行動を促すことはできない」と。そう言われてみれば、私は部下が決められたことを実行するのは当たり前のことで、できないのは単なる怠慢だとしか考えていなかった。常に自分の方から一方的な「べき論」をしつこく説くだけで、その私の言動に対して課のメンバーがどのような気持ちで仕事をし、どんな課題や悩みを抱えているかなど知る由もなかったことに気づかされたのでした。まさに支店長から指摘されたように、自分のマネジメントスタイルには、人としての血が通っていなかったのです。

話は戻りますが、リーダーシップとマネジメントの相違は、西郷隆盛がその人となりや人間性によって、率いる士族たちの心を大きく動かしたのに対して、大久保利通が、国家権力に裏付けられた絶大な権限を駆使して人や組織を命令・統制・構築したという違いに表れています。いわゆる「情の西郷」、「理論の大久保」といったところでしょうか。この事実は前表の比較にある通り、リーダーシップの源泉がその立場ではなく「人」にあるのに対し、マネジメントが人物的な素養ではなく、その「権限」にあることを意味しています。つまり、リーダーシップは立場や権限にかかわらず誰もが各持ち場で発揮できるものでありるのに対し、マネジメントは原則、その立場や役割を与えられたマネージャー(管理者)が行使可能になる解釈するのが一般的です。では次に、リーダーシップとマネジメントについてさらに深く考察してみることにしましよう。

まず私が考えるリーダーシップとは、「組織の進むべき方向を明示し、その到達に向けての戦略(プロセス)を立案すること。そしてそのチーム内の関係性を高めることで、目標を達成する力を引き出すこと」と考えています。つまり、①【理念】進むべき方向を示す、②【戦略】そこにたどり着くための方策を考える、③【関係性】目標達成へのモチベーションを高めることの3つの要素から成り立っています。これは、海を航海する船の船長に例えると分かりやすく、船の行く先を把握・明示し、そこにたどり着くための航路及び航海ルートを考え決定し、そこに乗船している乗組員の気持ちを一つにして、それぞれの役割を明確にしながら彼らのらの意識を高めることで、無事にゴールに導くことが求められています。

そして前述した3つの要素のうち、リーダーシップの中で最も重要な軸となるのが、③の目標達成へのモチベーションを高めることです。なぜなら、①と②をリーダーとして示すことはさほど難しくはなく、ある程度の知識と経験があれば、極端にズレたものにはならないからです。③の目標達成へのモチベーションを高めることとは、率いるメンバーの持てる力を120%引き出し、あらかじめ共有した目標に向かってメンバー同士が切磋琢磨しながら良いより方法を見つけながら自立自走する、というイメージです。そのようなより良き関係性をベースとした組織風土を構築できるかが、リーダーの腕の見せ所になります。残念ながら、これは口で言うほどそう容易なものではありません。かの西郷隆盛は多くの日本人にとって理想のリーダーとして尊敬され続けています。彼の生涯と行動はリーダーシップの模範として現在に至るまで長きにわたって語り継がれています。彼の誠実さや公正さは、多くの人々に深く信頼されましたが、彼は自分の利益よりも公共の利益を優先し、その行動は多くの人々に模範とされました。明治政府に対しても、自らの意見を貫き、常に自らの信念に従い行動し、必要とあれば対立も辞さない姿勢を見せていました。彼の人間性と魅力は、同僚や部下だけでなく、多くの民衆にも広く支持されました。それは個人的な栄誉や富を求めず、常に公のために奉仕することを重んじました。彼の無私の精神は、彼の行動全てに現れており、これが理想のリーダー像として現在の日本人にまで評価される一因となっています。

一方のマネジメントの意味合いは、与えられた目標に向かって、マネジメントサイクルをいかに早く、そして正確に回せるかが重要になります。このマネジメントサイクルは前述した通り、一般的には、Plan(計画)→Do(行動)→Chak(進捗管理)→Action(再行動)と認識されていますが、私はここであえて【G:PDCI】と定義づけさせてもらいたいと思います。まずはGoal(目標設定)があり、それを達成するためにPlan(計画)→Do(行動)→Chak(進捗管理)→Inspection(検証)という流れになります。最後のInspection(検証)は、単にAction(再実行)するのではなく、初期設定したPlan(計画)が、Goal(目標設定)達成のための手段として正しかったのか、またDo(行動)のChak(進捗管理)が的確になされていたのか等を、トータルとしてInspection(検証)するということが次の修正Plan(再設定計画)にとって非常に重要であることを意味しているからです。

マネジメントにおいて重要なのは、このサイクルを効果的かつ効率的に回すことによって、結果として目指すゴールへ迅速かつ確実に到達させることであるといえるでしょう。つまり自身の構想に基づいて、その目的を達成するための効果効率的な最善の手段を判断・選択し、それらを着実に実行する冷静さと堅実性が求められるのです。大きな組織になればなるほど、このマネジメントフローの設計力と、その強力な推進力が求められます。たとえ自分自身で直接マネジメントせずとも、この形をしっかりと設計し、自らが全体をコントロールできる仕組みづくりができるかどうかがマネジメントのポイントとなります。この【G:PDCI】の考え方を図に表したものが以下になりますので参考としてください。これはリーダーシップの機能とは異なる意味合いを持っています。大久保利通は「マネジメントの人」として高く評価されています。彼は明治新政府の設立と組織運営において、明治政府の主要ポストを歴任し、近代日本の基盤を築くための数々の重要な改革と政策を実行しました。また、欧米視察を通じて先進的な技術と経済モデルを学び、それを日本に導入すべく、産業の振興を図るため殖産興業政策を推進し、鉄道や通信、製糸業などのインフラ整備を進めました。また、外資の導入や技術の移転にも積極的に取り組み、近代国家の基盤を作るための法制度の整備にも尽力しました。彼の卓越した国家構想力に基づくマネジメントとその実行力が、今の日本を創ったといっても過言ではありません(しかしながら、意外に歴史的にあまり高く評価されていないのが残念です)。

いうまでもなく、常に目標を達成し続ける理想的なリーダーは、この「リーダーシップ」と「マネジメント」の双方を融合させ、あらゆる場面で常にシナジーを生み出す力を持っているのですが、重要なのは両方の力を同時に最大限、発揮させることではなく、率いるそのチームの状況や置かれた環境によってこの2つの力をバランス良く発揮できるかどうかになります。ハーバードビジネススクールの名誉教授である、ジョン・P・コッターは、優れた組織には両方の能力を持つ優れたリーダーの存在が不可欠であり、リーダーシップが「変革を推進する」一方で、マネジメントがその変革を具体的に実行するための「枠組みを提供する」としています。

マネジメントとリーダーシップの融合は、組織の成功と持続的な成長に不可欠です。両者が互いに補完し合うことで、戦略的な目標達成と日常業務の効率性を同時に実現することができます。この融合を効果的に行うためには、組織を率いるリーダーが、リーダーシップとマネジメントが果す役割を十分に理解し、めざすゴールに向かって一貫した行動を取り続けることが重要です。そしてこのことから良き経営を行っていくためには、経営者であるトップが、卓越した「リーダーシップ」と効果的な「マネジメント力」をバランス良く発揮する必要があると考えます。しかしながら、そのような人材は滅多にいるものではありません。

この「リーダーシップ」と「マネジメント」を融合一体化させ図にしたものがこの “「L」-「M」モデル” になります。組織が目指す理想の姿(Mission)を旗として掲げ、右に「リーダーシップ」左に「マネジメント」を位置づけ、前述したように、その下にそれぞれの重要機能が示されています。簡単に言うと、理想の姿(Mission)が頭の中の脳であり、「マネジメントの理念」が右脳、「リーダーシップの目標設定」が左脳といったところでしょうか。そして「リーダーシップ」以下の重要機能の総体が右腕、「マネジメント」以下のそれが左腕と意味づけれます。まさに「リーダーシップ」と「マネジメント」の融合と一体化は、卓越したリーダーの理想の姿と言えるのではないかと考えています。*ちなみに、この “「L」-「M」モデル”は私が新たに考え出したものです。私の経営コンサルタントとしての経験から言えば、経営がうまく回っている会社は、組織のトップであるNO1と、経営幹部であるNO2でその役割を上手に分担しているするケースが多く見受けられます。一般的で最も多いケースでは、社長が強いリーダーシップを発揮する傍ら、副社長(あるいは専務)などのNO2が管理部門を掌握し、全社のマネジメントを担当するケースが多いように感じています。(その逆はあまり見受けられません)。企業経営とは、企業経営者が大きな経営という観点から、この二つの機能を「いかにバランス良く発揮させられるか」ということであり、トップとNO.2が円滑なコミュニケーションの下で、うまく役割分担することによって、経営がうまく機能し好業績に結び付いていくのではないかと思われます。

サントリーにおける現在の同族経営スタイルを考えてみても、やはりその内容はリーダーシップととマネジメントがうまく機能しているといえます。まさに経営のトップである、創業家一族が会社の中枢にどっしりと腰を据え、利益三分主義とやってみなはれの経営理念の旗を掲げながら、会社の目指す姿を何度も何度も熱く語り、そこに向けての壮大な「夢」を示し続けています。そしてその実現に向けての「価値観」を徹底して説き、やんちゃで自由闊達な組織風土の大切さを口を酸っぱくして説き続けています。まさに会社の中心的リーダーとしての、「理念」を語り、それを実現するための「大きな戦略のフレームワーク」を示し、サントリーに集うメンバーとして、「やらなければならないこと・してはならないこと」、を口を酸っぱくして説くことで、創業家ならではのカリスマ的なリーダーシップを発揮しているといえるでしょう。

一方、全社のマネジメントに関しては、トップから選りすぐりの優秀な経営層がそれぞれのガバナンスや事業領域を任され、経営のトップが示した大まかな「理念」‣「戦略」・「関係性」のフレームワークを深く理解し、その実現に向けて自由闊達に「G:PDCI」のマネジメントを回すことに心血を注いでいます。まさにリーダーシップとマネジメントの機能がそれぞれ有機的に機能しているといえるでしよう。創業者一族が企業の求心力となり、その求心力の下で優秀な経営幹部がその手腕を遺憾なく揮う経営、それがサントリーの経営といえます。但しこの健全で良好なリーダーシップとマネジメントの融合のサイクルが永遠に続く保証はどこにもありません。今後は創業者一族を代表するトップの力量を示すべく、卓越した「リーダーシップ」と有能な経営幹部との綿密なコミュニケーションによって経営幹部の潜在的な「マネジメント力」を引き出すことがますます求められるようになります。常にサントリーの創業者精神を忘れず、トップが冷静な目で、全社のリーダーシップと、マネジメント機能をバランス良く回している力量が必要となってくるのは間違いありません。サントリーはいま、新たなステージに向けての挑戦と飛躍を求められているのです。

神田 和明

神田 和明

結果の出る強い組織づくりコンサルタント

株式会社チームフォース代表
中小企業の経営者に、コンサルティングとコーチングのハイブリッド型ソリューションで「結果の出る強い組織づくり」のサポートを行い、「活力」と「成果」をお届けしています
中小企業診断士/【BCS認定】プロフエッショナルビジネスコーチ/宅地建物取引士

関連記事

RELATED POST

この記事へのコメントはありません。

PAGE TOP
MENU
お問合せ

TEL:03-6272-5627

(月 - 金 9:00 - 18:00)カスタマーサポート